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牛肉の大量輸入によって背負わされる豪州への「代償」

 近年は米国での狂牛病発生による米国産牛肉の輸入停止に従い、オーストラリア産の牛肉、いわゆるOG(オージー)ビーフの輸入量が大幅に拡大したとの事です。オーストラリアでは狂牛病の原因となった肉骨粉を一切使わず、放牧によってなるべく自然に近い形で飼育しているために狂牛病に関する心配は一切ないとの事で近年は安全面を主張しては日本でも注目度が高まっているようです。実際、大手の牛丼チェーン店である「すき家」ではこの、オージー・ビーフを使って牛丼を再販売し始めています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%99%E3%81%8D%E5%AE%B6

2004年2月4日アメリカ産牛肉輸入禁止措置により、牛丼の販売を中止するが同年9月17日オーストラリア産牛肉を使用し再開する
牛本来の生態系を生かし、牧草だけ(日本向けの牛には解体数ヶ月前から穀物を与えて日本人好みの牛肉にする)で育てられた牛の肉は安全性が注目されていることから一見将来的に有望視されている牛肉であるかのように見えます。しかしながらこの牛肉を日本人が大量に消費できるのかといえば、その将来は決して明るいものではないと私は思えてなりません。

 牛肉を生産するのには大量の餌を必要とする傍ら、大規模な土地、主に牧草が生える平原とその土地と牛を管理するための水、そして牛が出荷段階に至るまでに飼育、管理する方々の人件費と環境面から見られるエネルギー消費量、経済的負担は決して小さいものではありません。そして、牛の飼育期間中に排出される排泄物やメタンガスなど、これまた環境に与える負担も少ないものではありません。

森林を切り開いてつくられた酪農地
http://eco.goo.ne.jp/life/world/australia/cattle/2.html

 安値のまま、クリーン&グリーンのイメージを保とうと、オーストラリアの酪農家は生産量を増やすために酪農地を拡大しようとします。
 しかし、クリーン&グリーンなイメージの源とも言える広大なオーストラリアの酪農地も、もともとは森林の木々を切り倒して開拓されたもの。土地の有効利用を図っているといっても、酪農の拡大は、森林の減少を意味する事がよくあります。 酪農が始まって以来 木々は伐採され続け、現在残っている森林の面積は、酪農が始まる以前の何と30%以下に減っているとも言われています。
 森林はオーストラリアの生物を育む大切なエコシステムの舞台。また、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収する役目も果たしており、我々人類にとっても大変貴重な資源となっています。 しかし、酪農の効率を上げるためには、うっそうと茂る木々は邪魔な存在。今でも、酪農の拡大のために森林は切り開かれており、オーストラリア国内でも論議の対象となっています。
 酪農の拡大は、森林の減少だけでなく、牛が発生するメタンガス量の増加にもつながり、地球温暖化に影響を与えます。 牛などの反すう動物が生じるメタンガスは、代表的な温暖化ガスである二酸化炭素よりもはるかに温室効果が大きい事が知られているからで、メタンガスは、発生する絶対量が少ないため、あまりスポットが当たることはありませんが、 その影響はばかにできません。そのため、オーストラリアではメタンガスの発生を抑える牛の餌の研究などもなされているといいます。
 オーストラリアの経済を考えると、輸出を増やすための酪農の拡大はやむをえない部分もあります。しかし、そのために起きる森林破壊の環境へのコストは、残念ながらオージービーフの価格には含まれていません。 そのつけは地球温暖化や生態系の損失といった形で、未来の世代へと受け継がれていく事になるのでしょう。
 さらには興味深い資料もあります。それはこれら牛など、家畜の過放牧によってオーストラリアは砂漠化が問題となっているとの事です。

砂漠化とその原因
http://www.geocities.jp/soil_water_mitchy11/DesertCause.htm

アフリカで過放牧,アジアが過放牧と樹木の過伐採が多く,オーストラリアで過放牧,北米で不適切な土地,水管理が多いことが分かります。全体的に,過放牧と,不適切な土地・水管理による砂漠化が進行しています。
オーストラリアというのはもともと真水の量が少なく、このために牧場では地下水を汲み上げては貴重な真水を使用してこれを牛の飼育に使ってしまうために、地中の水分が減少して砂漠化が振興してしまうということですな。

水はとっても貴重な資源です
http://eco.goo.ne.jp/life/world/australia/water/index.html

 もともと乾燥大陸であるオーストラリアの降水量はごく少なく、ダーリン・マレー川も、その規模の割には水量が大変少なく、年間平均水量はミシシッピ川の3.5%以下、アマゾン川の1日分の水量にも満たないそうです。 しかし、酪農による水のくみ過ぎによって川が干からび、水が河口までほとんどたどり着かない事が大きな問題となっています。
(中略)
 水不足の危機と隣り合わせであるアデレード市を訪れた私は、まず、水道水のまずさにびっくり。 まるで海水が混じっているのではないかと思わせる塩辛さ。この水道水の塩分の濃さは、海水ではなく、マレー川の水不足と酪農による森林の伐採に原因があるようです。
 ダーリン・マレー川の底には1千億トン以上もの塩が存在していると言われ、また、水中には塩化カルシウム、マグネシウム塩や塩化カリウムが多量に含まれており、そんな水を直接飲むのはほとんど無理です。 州の半分以上の水源をマレー川に頼る南オーストラリア州では、水道水は処理を加えられているとはいえ、メルボルンの軟水に慣れている私は水道水の硬さにびっくり。
 どおりでホテルでもレストランでも、南オーストラリア州では、水道とは別に飲み水が備え付けられているはずです。ここでは水は用途により使い分けが当たり前のようです。 酪農用にはほとんど処理されていない水、ある程度処理された水は生活用、そして、より一層濾過された水は飲用に。水は大切に使われています。
これらはいわば、牛肉消費を拡大する時に我々が背負う「代償」ですが、その「代償」は先に述べた生産段階における環境においての身、生じるものではありません。海外への牛肉輸出量が拡大したことによる、生産地への影響があります。もともと、牛肉というのはオーストラリア長年にわたって親しまれている食材の一種なのですが、最近ではこの牛肉の消費量が地元では減少すると同時に牛肉を販売する地元の人々も大変困っているとの事です。
(前略) 最近のオーストラリアドル安が、海外市場におけるオージービーフの価格を魅力的なものにしており、オーストラリア牛肉の人気は高まるばかりだそうです。 日本でも、オージービーフは人気があるのでしょうか?
 私が買い物をする肉屋さんでは、牛肉の価格がここ1年間で約20%も値上がりし、その理由を肉屋のおじさんに尋ねると、多くの牛肉が輸出に回ってしまい、国内価格も吊り上げられていると不満をこぼしていました
日本が牛肉をオーストラリアから大量に買ったからといって地元の人々は全く喜んでいないようです。貿易は「国際交流」と「交友」の一部のように思われているようですが、この情報からすると、決して槽ではなく、むしろ国内に日本をはじめとする牛肉輸入国への不満が高まっているように思えてなりません。我々がこれら国々に牛肉を購入すると同時に与えている物といえば、金以外には環境負担、牛肉の値上がりという金ではどうすることもできない「代償」以外の何者でもないと思えてなりません。

 ここではあえて公表しませんがどこかの誰かさんが「オーストラリアの牛肉は美味い」「もっと食べるべきだ!」「アトキンス・ダイエットだ!」と叫んでは牛肉の消費が向上すれば向上するほど我々は上記に述べたような「代償」を背負う羽目になるということです。

 「安全だから」とそこで終わるはずがありません。安全だからといってもそれが過剰生産されて環境破壊が振興しては下も子もありませんしさらには生産地の人々に反感を与えて「友好関係」がぶち壊しになってしまえば歴史上でも「汚点」として残るでしょう。わが国は食料自給率が低く、大量の食材を海外から輸入してはいるものの、上記に述べた「代償」を背負ってはいまいか?「買ってやっているからそこの国は喜んでいるはずだし、反感だの買うはずもない」と決め付けてはいまいか?オーストラリアに見られる日本の牛肉輸入拡大政策が与えている影響を以下のHPを読んで是非、考えてほしいと願うまでです。

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Comments

オーストラリアの旱魃の被害は他地域の比ではなく、しかも恒常的なものですからねえ。

たしかこの夏(日本では冬の時期)も水稲・小麦にそこそこ被害が出ていたかと。

Posted by: テンペ | August 10, 2005 at 10:47 PM

>オーストラリアの旱魃の被害は他地域の比ではなく、しかも恒常的なものですからねえ。

>たしかこの夏(日本では冬の時期)も水稲・小麦にそこそこ被害が出ていたかと。

現在における食料の生産量が自給率200%以上といってもそれを持続的に生産し続けるように環境を維持しなければ意味がありません。

大量に生産ができることはいいにしてもそこでの環境破壊からして果たして生産過剰が将来的に良い影響を与えているといえるのか。これを考えてほしいものです。

今日買って食べることができたから、明日も買って食べることができるという甘い考えではいつかは食糧難の壁にぶち当たってしまいます。

Posted by: 水産大国 | August 11, 2005 at 04:25 AM

はじめまして
牛肉の輸入再開について調べているうちにこちらに辿り着きました
いろいろと勉強になります

Posted by: tokyo7th | November 08, 2005 at 05:37 PM

トラックバックをありがとうございます。狂牛病問題で、米国産の牛肉が一時日本で解禁になったものの、米国の業者自体がこれに関してまったく認識しておらず、ずさんな処理によって生産された牛肉が大量に入ってきて一週間で中止になりましたな。

理由はなんであれ、米国から牛肉が輸入される日は二度と来ないというか、中国産の野菜同様、だれも買わなくなると思いますな。

Posted by: 水産大国 | February 25, 2006 at 07:43 PM

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